鎌倉 相次ぐハイカーの事故 5月16日 朝日新聞湘南版

平成23年3月1日の観光厚生常任委員会で審議した「第48号鎌倉市のハイキングコースの安全対策についての陳情」に関連する報道がなされましたのでご紹介します(議事録はこちら)。

以下、引用開始

鎌倉 相次ぐハイカーの事故 5月16日 朝日新聞湘南版

市民団体 市にコースの整備要望

健康志向の高まりとともに、鎌倉市でハイカーによる事故が起きている。地元のボランティア団体「鎌倉ハイキングクリーン」(亀井健次郎代表)は市に対し、ハイキングコースの安全整備を求めている。

鎌倉市消防本部によると、昨年1月と12月にハイキングコースやコースそばでそれぞれ76歳の女性、78歳の男性が高さ10メートルの傾斜した崖から転落し、女性は軽傷を負った。コースのごみ拾いや木製の階段づくりなどを進める同団体の会員が、滑り落ちた人をロープで引っ張り上げたケースもあったという。

鎌倉市には主に三つのハイキングコースがあり、北鎌倉駅を起点にする天園コース(約6キロ)だけでも、昨年35万人以上(推定)のハイカーが訪れた。コースの出入口近くに社寺があり、観光客が参拝ついでに軽装で歩く姿が見受けられる。
同団体では、倒木の片付けや、「落石注意」の看板の掲示などの事故防止の取り組みもしてきた。その上で「大事故も懸念される」と再三、市に安全整備を要望。市はコース沿いの民有地との境界が未確定な場所があることを理由に、整備には慎重だったが、来年度から予算化して安全策を講じる方針という。

以上、引用終わり

鎌倉市のハイキングコースの安全対策についての陳情については、私は採択すべく結論を出すべきと主張しましたが、私以外の委員の方々は継続審査を主張されたため、継続審査扱いとなっています(平成23年3月1日観光厚生常任委員会-03月01日の会議録より抜粋引用-斜字)。

◆飯野 委員  まず基本的なことをちょっとお伺いしたいんですが、このいわゆる赤道、いわゆる里道だと思うんですが、この管理というのは基本的には市が行う義務は負っているということでよろしいんですか。

◎観光課長 市道につきましては、市に管理があるというふうに考えております。

◆飯野 委員  わかりました。それとここに、鎌倉市観光案内図のところに赤くハイキングコースが出ていますけれども、ここの赤いコースの中に当然民有地が入っているということを言われていましたが、当該民有地の所有者の方というのは何%くらいの方が自分の土地をハイカーの人が通っているということを認識されているんでしょうか。

◎観光課長 このハイキングコースのうち、約半分くらいが民有地でございまして、所有者の数というのは私ども今現在把握はしておりませんけれども、そのうちの何%がハイキングコースとして利用されていることを知っているかと言われましても、ちょっとその辺はわからない状況です。

◆飯野 委員  わかりました。今このハイキングロードというのは、一応市は先ほど御説明であったように案内看板を立てたりとか、パトロールを実施して枝払いをしたりということで、実質的には管理をしているということでよろしいんですか。

◎観光課長 私どもが管理というか、紹介をしているという表現を使っておりますけれども、紹介をしている以上、最低限の安全措置としまして、月に1度のコースのパトロール、あるいは年に7回ほど清掃の業務をやっております。また、台風等が通った後には危険箇所が出た場合にはその辺の処理も行っております。

◆飯野 委員  最低限の管理ということで、実質的に管理を行っているというふうに理解せざるを得ないんですけれども、そのいわゆる市の所有している道路、市道を通ったときに、例えば道路上の管理上の瑕疵があって、大けがをしたりとか死亡されたりとかした場合に、市が国家賠償法に基づく損害賠償請求をされたりとかという恐れというのはないのでしょうか。

◎観光課長 道路として市道として認定している部分での事故ということであれば、その辺のことは考えられると思います。ただ、市道の一応認定はしてあっても実際その現地の状況、要するにそのルートが市道部分から大きく外れている部分等もございますので、そういう場合には民有地の中という形になります。ですから、間違いなく市道であるというところにつきましては、その辺のことは考えられると思います。

◆飯野 委員  まずはそういう市の道路に関してはしっかり管理をしないと、そういう何か、先ほど陳情者の方が言われていましたけれども、骨折された方がいて、そういう方が市の管理が悪いからということで、あの方は自己責任ということをおっしゃっていただきましたけれども、年間40万人以上の方が押し寄せる中でそういう危険もリスクもあるわけでして、そういうのをしっかり管理しなければいけないんじゃないかなというふうに私は考えています。
それと、今の市の道路、里道を大きくそれた場合で、民有地を通った場合には責任がないというふうにおっしゃられましたけれども、民法上土地の所有者に対する管理責任を問うときに、まずは最初に管理者に責任を問うて、その責任がないよということであれば所有者にも瑕疵責任を負わせるという規定があったように記憶しているんですが、そういう点で市が時々清掃を行ったりですとか、看板を出したりしているということになると、そこの道路も市が管理されているというふうに認定される可能性というのはないんでしょうか。

◎観光課長 その辺につきましてはまだ区域がはっきり明確になっておりませんので、ちょっとその辺についてはわからないのが現状でございます。

◆飯野 委員  あと当然その所有者の方によっては自分の道路を、自分の土地を通っているということを全く認識されていないという方もいらっしゃるというふうに、先ほどお話があったんですが、これは所有者の方の意思に反して土地に入るということは刑法上もちょっと問題があるんじゃないかと思いますが、その点はどのように認識されていますでしょうか。

◎観光課長 所有者がわかっている部分も実はありまして、そこを現在ハイキングコースが通過しているという事例もございます。そこの方からはうちの土地のほうには入らないでほしいというというような要望も実際受けているような、そんなような状況もございます。

◆飯野 委員  そういう要望もある中で、こういう案内図を出しているということ自体、ちょっと問題があるんじゃないかなと私は考えております。
それと、そういう確かに距離が10キロ近くあるということで、非常に長い距離ですから、それから査定していくというのは非常に大変だとは思うんですけれども、少しずつでも話が前進するように、民有地に関しては市は交渉していって、賃貸借契約をするなり、もしくは土地を買い取るということをすることによって、決着をつけるべきだというふうに私は考えますが、その点はどのように考えていますでしょうか。

◎観光課長 私ども現在は土地所有者の、あるいは近隣の方の厚意に反しない形で、より一層の理解と協力を得ながら現状の形でハイキングコースを紹介して、安全にハイカーが歩けるような体制で、今後も進めていきたいというふうに考えております。

◆飯野 委員  私はこの問題は、やはり市が非常にあいまいな態度をとっていると。所有者の方に言えば通れなくなる危険があると。かといって何か事故があったときに市が訴えられたりした場合、損害賠償、過失の認定とかの問題もありますけれども、こういう活動の認定の問題はありますが、やはりそこは少しずつでも解決していかなくてはいけないのじゃないかなと。
特に河川なんかの例でいうと、国家賠償事件について財政上の制約がある場合は緊急、特段の事由がない限り、それが防ぎ得なかったとしても管理瑕疵と見るべきではないというふうにしているというような判例もあります。
そういう意味で、非常に10キロという膨大な距離で、そこに官民の査定をしていくというのは非常に困難なことはあると思うんですが、やはりそれを全く手つかずにやっていくというのは非常に問題があると思います。以上です。

(中略)◆飯野 委員  私は今回の陳情については、結論からいうと結論を出すべきだというふうに考えております。やはり今、市の持っている赤道と民間の方の民有地の境界というか、その辺の境というか、何か事故が起きた場合の管理責任という点で非常にちょっとあいまいになっているのかなと。
ただ、話を聞いていると今度は風致保存会の方がパトロールを行ったりですとか、清掃したりということになっていると、実質的に市が管理しているじゃないかというふうに私は裁判所とかでは認定されるんじゃないかと考えております。
そういう意味で、この陳情書に書かれている使用承諾書とか、覚書を交わして、責任関係をはっきりさせるというのが非常に大切なことだと思うんで、そういう意味で結論を出すというふうにさせていただきます。

(中略)○久坂 委員長  それでは皆様すべてからの御意見を今承りまして、結論を出すべきというのが1名、継続という意見が5名でございましたので、こちらの陳情第48号に関しましては、継続審査とすることを確認させていただきます。
それでは、職員入れかえのため休憩させていただきます。

 

しかし、平成23年9月に行われた「平成22年度一般会計決算等審査特別委員会-09月22日」でも民法717条を根拠に市は実質的に管理している以上、管理者としての責任があるので積極的に対応すべきと主張しました(下記の会議録抜粋参照)。

◆飯野 委員  この農地に関しても土地開発公社も絡んでいる問題なんで、それはまた今度、土地開発公社の金利負担とかいうその辺で再度お聞きします。
それと、観光のことでちょっとお聞きしたいんですけれども、ハイキングコースが、たしか、ちゃんと管理してくださいみたいな陳情が出てと思うんですけれども、こういうハイキングコース、市有地で当然けがをすれば市が責任を負うということになるんですけれども、その民有地でけがをした場合に、だれが責任とるのか、損害賠償をされた場合に。当然、市は市の物じゃないから所有者というのか、それとも所有者の方からすると、市にハイキングコースとして協議をして貸し出しているわけだから、市にしてくださいということで、責任がちょっとあいまいになっているんですけれども、この点について、今、どのように考えているかということをお伺いしたいと思います。

◎観光課長 ハイキングコースにつきましては、現在、天園それから大仏、祇園山の3コース、総延長で10キロほど、これは御紹介させていただいているところでございます。この10キロの中に私有地や民有地が混在しているというのが現状でございます。市のハイキングコースにつきましてのこれまでのスタンスでございますけれども、紹介しているという立場でございまして、市有地はともかく民有地について積極的な整地ですとか、それから伐採、そういう管理はできないというような立場でございましたけれども、2月議会に出された陳情、これを受けまして、6月に顧問弁護士のほうにこの件につきまして相談させていただきました。そうしたところ、ハイキングコースとして紹介をして、多数の人を通している以上、これは法的な責任が問われる可能性があるということでございましたので、今後、安全対策につきまして積極的な形で対応をさせていただきたい、そのような形での予算もつけていただきたいというふうに考えております。

◆飯野 委員  この点に関しては、民法717条で、基本的にはまずは管理者が責任問われると。管理者に責任がないということになると所有者が責任とらなきゃいけなんですけれども、その所有者の責任というのは、無過失責任になってしまうわけです。それは十分御存じだと思うんですけれども、そういう意味でぜひ、この点に関しては今積極的にということでいっていただきましたので、その責任所在をはっきりさせていただきたいと思います。

 

第3次鎌倉市総合計画 第2期基本計画 後期実施計画の『6 活力ある暮らしやすいまち-3 観光「観光に高い魅力と独自性があるまち」』の箇所に「ハイキングコースの安全管理」が盛り込まれています。

2404-2-6-1

 

朝日新聞の記事は「大事故が起こらないうちに、早急に対応すべき」というご指摘と受け止めます。

参考:国家賠償法第2条(公の営造物)

  1. 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
  2. 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

なお、国家賠償法第2条は無過失責任主義となっております(第1条は過失責任主義)