令和2年第3回一般質問 「伝統的工芸品産業の振興について」

伝統的工芸品産業の振興について

(質問要旨)  

伝統的工芸品とは、「伝産法」により指定された工芸品で、本県では「鎌倉彫」「小田原漆器」「箱根寄木細工」が指定されている。

しかし、伝統的工芸品産業は、需要減少や後継者難により産業全体が長きにわたり衰退しているといわれ、新聞報道によれば、コロナ禍でより厳しい状況が報じられている。

短期的には、コロナ渦で展示会など販売の機会が奪われた事業者の事業継続や販売促進を支援していく必要があるが、先を見据えた長期的な観点からも、従来の伝統的工芸品のイメージの枠を超える全く新しいデザインの製品を作るための支援や、後継者を確保・育成するための支援など、継続して実施する必要があると考える。

そこで、今までの厳しかった状況がコロナ禍において更に厳しくなっている伝統的工芸品産業の振興について、県はどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

スライド1

 

 

 

スライド2 スライド3(知事答弁) 

飯野議員の御質問に順次お答えします。

はじめに、伝統的工芸品産業の振興についてお尋ねがありました。

鎌倉彫をはじめとする伝統的工芸品は、長い年月をかけ、地域で育まれた、重要な産業資源です。

しかし、後継者の不在や、海外からの安価な輸入品の増加などにより、事業者数や生産額は、年々減少傾向にあります。

また、コロナ禍によって、需要の一端を支えていた国内外からの観光客も減少し、事業者は厳しい経営状況に置かれています。

この状況に歯止めをかけるためには、まず、観光客の減少により落ち込んだ需要を喚起する必要があります。

その上で、長期的には、匠の技術・技能を継承する後継者を育成していくことや、新たな需要を掘り起こす魅力ある商品を開発していくことが重要です。

そこで、落ち込んだ需要を回復させるため、県内の工場で作られた製品について、県の負担により割引を行う「県内工業製品購入促進事業」に、伝統的工芸品も登録するよう、事業者に働きかけていきます。

また、「地元かながわ再発見」推進事業や、国の「GoToトラベル」により観光客の増加も見込まれますので、それをきっかけとして購入者を増やし、需要回復につなげたいと考えています。

さらに、設備を自ら所有していない若手技術者を、伝統的工芸品の将来を担う後継者として育成するため、工芸技術所で昨年度導入したレーザー加工機等を活用し、試作品の製作を支援していきます。

加えて、デザイナーなどの専門家を招いた講習会を開催し、新たなファンを獲得するための商品づくりを支援していきます。

このような取組を通じ、需要を喚起し、後継者育成や、魅力的な商品づくりを支援していくことにより、伝統的工芸品産業の振興を進めてまいります。

 

(再質問)

1点、伝統的工芸品産業の振興について再質問をさせていただきます。

工芸を主とする木製品事業者向けに各種支援等を行う神奈川県産業労働局中小企業部中小企業支援課の小田原駐在事務所である工芸技術所は、県西部の小田原市にあり、小田原駅からバスで10分程の距離にあるとお聞きしております。

また、当該施設は、「貴重な地域資源である箱根寄木細工や小田原漆器、鎌倉彫をはじめとする工芸品産業の持続的な発展に向けて、技術面と経営面の両面から総合的な支援を実施しています。」としています。

そのような工芸技術所は、伝統的工芸品のPRという視点で考えれば、少し足りないように感じております。

伝統的工芸品を多くの方々に知ってもらうためには、伝統的工芸品に触れる機会を増やすべく、もっと県全体で行っていくべきではないかと思うが、今後どのように進めていくのか、お伺いします。

 

(知事答弁)

それでは再質問にお答えいたします。

これまでも、工芸技術所が作成したパンフレット「神奈川の伝統工芸技術」や、イベントの案内チラシを、各地域県政総合センターや県立図書館などに配架して、PRしています。

今後は、さらに、各地域県政総合センターの展示スペースなどを活用して、県民が伝統的工芸品に触れる機会を増やし、広くPRしていきたいと考えています。

 

(要望)

はじめに、伝統的工芸品産業の振興について要望いたします。

一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会にご提供いただいた、「2019年度自治体伝統的工芸品産業支援関連予算項目別集計表」というものがあり、こちらは、当該協会が、伝統的工芸品産業振興のために、自治体の支援関連予算について調査をまとめたものになります。

この表を首都圏の一都三県での比較をしてみました。東京都は自治体主催の国内展示会等への支援、海外販路開拓の支援、国内販路開拓の支援、自治体主催の新商品開発の支援の4項目と回答しています。

また、千葉県は、インターン支援による後継者育成、原材料・用具への支援、事業者への経費補助による国内展示会等の支援、海外販路開拓の支援、国内販路開拓の支援、事業者への経費補助による新商品開発の支援、該当するか明確には判明しないものの、就業者募集による後継者育成の支援、地域おこし協力隊による後継者育成の支援、自治体主催の国内展示会等の支援の9項目を回答しております。

埼玉県は、雇用主による従業者研修、就業者募集による後継者育成支援、事業者への経費補助による国内展示会等の支援、海外販路開拓の支援、国内販路開拓の支援、事業者への経費補助による新商品開発の支援の6項目と回答しています。

一方、神奈川県は事業者への経費補助による国内展示会等の支援のみと回答しております。

単純な首都圏の一都三県での比較ですが、こうして見ると、本県の伝統的工芸品への支援はまだまだ伸びしろがあると言わざるを得ません。30年後、40年後を見据えた、伝統的工芸品産業への実効性のある支援を要望いたします。