4月26日 神奈川県児童相談所における性的虐待調査報告書について調査しました

4月20日にブログに記載しました「性的虐待、56%が1年以上…実父最多34% 4月19日 読売新聞朝刊」(http://www.masatake.info/report/2010/04/%E6%80%A7%E7%9A%84%E8%99%90%E5%BE%85%EF%BC%95%EF%BC%96%E3%81%8C%EF%BC%91%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E5%AE%9F%E7%88%B6%E6%9C%80%E5%A4%9A%EF%BC%93%EF%BC%94%EF%BC%94%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%99%E6%97%A5%E8%AA%AD%E5%A3%B2%E6%96%B0%E8%81%9E%E6%9C%9D%E5%88%8A.html)について更に調査すべく、4月26日に藤沢にある神奈川県中央児童相談所に行ってきました。調査内容は昨日記載することができなかったため、本日作成しました。

中央児童相談所は神奈川県にある5つの児童相談所(政令市の横浜市、川崎市、相模原市及び中核市の横須賀市は除く)のうち唯一、虐待対策支援課があるため表題の報告書について取りまとめを行っていました。そのことを電話で確認し虐待対策支援課長さん(以下、課長という)を訪ねました。

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県政、藤沢記者クラブに発表された資料(表題の概要版)は次の通り。

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これらの資料と次の資料を元に課長から説明を受けました。

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あまりの内容に強い憤りを感じました。虐待をしておいてシラを切り、また自らを正当かする親(実父、継父、養父、内夫)、見て見ぬ振りをする母親、本当に許すことができないと感じました。また、被害に遭った子どもたちの説明を受けるときは胸がかきむしられる思いがしました。

虐待はなくさなければならない、また、性的虐待は発表された資料にもあるように「生涯にわたる影響を及ぼす重篤な虐待である。」ということを強く感じました。

説明の後に今後、性的虐待を含む虐待について今後どうやったらなくすことができるかなどを議論しました(というよりアドバイスを受けたという方が正確)。以下、箇条書きに資料になかった説明や気づいたことを記載します。

・児童虐待防止法では、次の4つの行為を虐待として定義。

①身体的虐待=殴る、蹴る、投げ落とす、首を絞める、溺れさせる、逆さ吊りにする、タバコの火を押しつける、毒物を飲ませる、戸外に締め出すなど、子どもに対する身体的な暴力のこと。(児童虐待防止法第2条第1項)

②性的虐待= 子どもに性的ないたずらをする、性的関係を強要する、性器や性交を見せたり、ポルノビデオを見せる、裸体を撮影するなどの行為のこと。(児童虐待防止法第2条第2項)

③ネグレクト= 子どもを捨てる、食事を与えない、入浴させない、汚れた衣服を着続けさせる、病気になっても医師の診察を受けさせない、子どもの意思に反して学校に登校させない、自動車の中に乳幼児のみ放置するなどの行為のこと。(児童虐待防止法第2条第3項)

④心的虐待=言葉による脅かしや脅迫、または無視したり拒否的な態度を示すことにより児童の心を傷つける行為のこと。(児童虐待防止法第2条第4項)

・今回の調査で性的虐待111件(複数の虐待者から被害を受けている事例がある)中38件(34%)と最も多かった。最も、実父以外は養父21件、継父13件、内夫11件(いずれも血縁関係なし)の計45件(40%)となる。実父、養父が1位・2位という傾向は第1回目(平成13~平成15)から変わらない。

・児童相談所に通告されるきっかけとなった一番最初の告白相手は、学校(学校教職員)が24件(28%)、実母12件(14%)であった。この傾向は2回目(平成16~18年度)と同じ。

・県中央児童相談所にある虐待対策支援課で「司法面接のスキルを用いた調査面接」を行ったのが34件(31%)である。「司法面接のスキルを用いた調査面接」は被虐待者が何度も被害の状況を話さなくても済むように録画を行う。また、「司法面接のスキルを用いた調査面接」、アメリカで司法面接の資格を取得した人から指導を受けた者が行う。

・児童相談所では、緊急出動と保護の人員は充足されているが、その後のケアと防止するためのスタッフがいない。

・児童相談所の仕事の内容は主に2つ。①児童に関する相談サービス、②「虐待をしてはいけない」といういわば「児童警察」的な行政権限の行使がある。これら2つのことが同一の組織で行われていることで、その後の親子支援等に苦慮している面があるのではないか。担当を明確に分けるべきではないのか。そのために人員を補充する必要があるのではないか。

・大津定博氏の4月20日の講演では性的虐待を受けた子どもの多くは自傷行為や性風俗産業に従事することが多いというデータがあると言われていた。神奈川県でも現在の虐待だけでなく将来の虐待を防ぐためにこれまで調査してきたことの追跡調査や市町村の保健士が「赤ちゃん教室」を行う際に虐待について教えることや保育所・幼稚園の先生に児童が虐待を受けたと思われる場合に何をいうべきかなどを教えるスタッフも必要なのではないか。

・被虐待児を受け入れる施設の不足が深刻である。

●一時保護所(なんらかの事情でおとなの保護を受けられない子どもや、虐待を受けている子どもたちが緊急避難的に入所)・・・満床

以下の①~④の施設も里親も空きがない状態

①児童養護施設(児童福祉法第41条。保護者のない児童、虐待されている児童、その他養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設。 )4人や8人の相部屋。今は高校卒業までいることができる。半数以上が虐待。児童福祉法の最低基準は一人あたり3.3㎡あればいい。

②児童自立支援施設(児童福祉法第44条。不良行為をし、又はするおそれのある児童などを入所させて、必要な指導を行い、その自立を支援する施設)

③情緒障害児短期治療施設(児童福祉法第43条の5。軽度の情緒障害を有する児童を、短期間、入所させ、又は保護者の下から通わせて、その情緒障害を治し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設)医療(精神病棟)と福祉と教育がセットになった施設。県の施設にはない。ない理由は一緒にやってくれる病院がないため。県内では横浜市戸塚区にある西横浜国際総合病院と一体となっている施設のみ。被虐待児はマンツーマンで人と接するのが苦手である。①、②については集団生活となるためなじめない。その点、情緒障害児短期治療施設は個室であり被虐待児には適している。一番不足している。

④乳児院(児童福祉法第37条。乳児を入院させてこれを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設。 児童福祉法において乳児とは1歳未満の者をさすが、乳児院では、必要がある場合、小学校入学前の児童までを養育できる。かつて孤児院と呼ばれたように、以前は戦災孤児や捨て子等が入所児の大半であったが、現在の入所理由は、虐待、婚姻外出産、母親の病気、離婚や死別等で母親がいない、子ども自身の障害等である。乳児院に入所していた子どもは、その後、両親や親族の元へ引き取られたり、養子縁組等で里親の元へ引き取られるが、それが無理な場合は、小学校に入学するまでに児童養護施設へ措置変更となる。)。0歳と1歳児。4月からは乳児の虐待が多いため、危なかったらすぐ預かる。

※①から④のカッコ内の説明はwikipediaの「児童福祉施設」から引用しました。

児童福祉施設 - Wikipedia

以上のことより、次のような対策を取る必要性を感じました。

・現在、児童相談所は人員不足であり、①児童に関する相談サービスと②「虐待をしてはいけない」といういわば「児童警察」的な行政権限の行使が、同一の組織で行われていることで、その後の親子支援等に苦慮している面があると思われる。これらを明確に分離分担させる組織作りを行うことが効果的ではないか。

・性的虐待は生涯にわたる影響を及ぼす極めて重篤な虐待であることに鑑み、性的虐待を受けた子ども達に対し追跡調査を行い、将来の子どもたちを性的虐待から守るために必要なデータの積み重ねを行うとともに、性的虐待を行った疑いのある大人は面接を義務付ける規定がないため、条例または規則により面接を義務付ける規定の制定する必要があるのではないか。