現在、市は平成30年3月31日に現市庁舎を防災上や執務空間の不足などを理由に、鎌倉市本庁舎を深沢へ移転させることを決め、現在、そのための基本構想、基本計画を作成中です。
そのことを平成30年5月1日付の鎌倉市広報で「本庁舎は災害に強いまちを目指して深沢地域整備事業用地に移転します」と一面に報じたことから、地方自治法第74条に基づくタイトルにある条例制定請求の署名活動が開始され、所定の署名数が集まったため臨時議会が開催されました。
私は次の考えから住民投票は現段階ですべきではないことを主張しました。その旨は反対討論で主張させていただきました。
反対討論内容
『ただいま議題となりました議案第52号 鎌倉市本庁舎整備に関する住民投票条例の制定について、原案及び修正案について反対の立場で討論に参加いたします。
・今回、8千人以上の市民の方々から、住民投票条例制定請求が提出されたことは、行政側の意思決定プロセスが、少なくとも8千人余の市民の方々の認識と、大きくかい離していたことに起因していると認識する。
・市庁舎の移転は、市の行政計画の中でも極めて重要な事業であり、多くの市民が、その意思決定プロセスに何らかの形で参画、あるいは検討の進捗を十分認識した上で進めるべきであった。
・行政の進め方に問題があったのか、住民が関心が薄かったのか、我々議員の調整力が不足していたのか、それについての議論をする以前に、実態として8千人以上の市民の方々から、現在の進め方に疑問を投げかけられたことは、紛れもない事実であり、それをしっかり受け止め、今の状況下で何をすべきか、今後どのように行政側が対応をすべきか、最良の方法を市民、行政と共に考えていかなければならない。
・今回の署名活動、条例制定の請求については、市民の方々の意思として重く受け止めなければならない。その上で、今回の本庁舎移転計画に疑問符を投げ掛けられた条例案を検証すると、深沢に移転か否かのみを、今後市民に問うて投票するものであることが、この条例案制定の賛否を議論する上で重要なポイントである。
・この条例案を提出した市民の方々が言われているように、十分な市民の合意、計画についての認識がなされていない状況下では、仮にこの条例を可決し、速やかに住民投票を実施したとしても、前述したとおり、重要な事業である市役所移転について、多くの市民が、その意思決定プロセスに何らかの形で参画、あるいは検討の進捗を十分認識した上で進めることはできない。
・むしろ多くの市民が基本構想、基本計画も定まっていない未成熟な情報共有の段階のまま、移転の是非を問うことは、市民をいたずらに分断し、将来の鎌倉市政、市民活動に禍根を残すと考える。その予兆として、既に地域毎で賛否の意見が対立し、本庁舎のあるべき姿の議論を置き去りにして、単なる地域毎の対立に基づく発言が散見されている。
・本庁舎移転は、繰り返しになるが重要な事業である。ただ、市の重要な施策、事業はそれだけではない。防災、福祉、子育て、教育など、多岐にわたる行政課題、そして、喫緊に解決が求められるゴミ処理問題など、これら様々な分野の行政課題解決には、様々な担い手を含めた市民の協力が欠かせない。果たして、この条例を制定し、住民投票を行った場合、その結果の如何にかかわらず、市民が分断された状態となってしまっては、これら行政課題を解決していくための取組に、多大なる悪影響を与えることが憂慮される。
・これらの状況を考慮すると、今、本市にとって何をすべきか、最良の判断は何か、それは、本庁舎移転に係る市民との情報共有レベルを高めることであり、この条例案を可決し、情報共有レベルが希薄な段階の今、住民投票の実施に向けた議論をすることではないと考える。
・如何なる施策、事業も全ての市民総意で進めることはできない。しかしながら、一人でも多くの市民がその議論に参画し、また、その議論を認識する環境を考える必要がある。
・幸い今回の条例制定請求によって、多くの市民は問題意識を持って頂けたと思う。市役所本庁舎が、次世代の子や孫たちのために、どのようにあるべきなのか。防災、安全性、交通問題などの前提条件に限らず、技術革新の進捗を前提とした、必要な機能、仕様、佇まいも含めた、市民が集い、賑わい、活動する場として求められるものとは何かを議論する必要がある。
・本庁舎の移転先が深沢か否かを問うのではなく、市民皆で議論するプロセスを経るため、今は軽軽に住民投票を行うべきではないと考える。
以上の理由により修正案及び修正部分を除く原案について反対とする。
以上で、討論を終了いたします。』

