逗子市役所へ情報公開条例とまちづくり条例に関する調査のため視察いたしました。
視察については、先進地調査報告書を作成し議会事務局へ提出することとなっております。その報告書は下記の通りです。
平成21年1月25日
先進市視察報告書
鎌倉市議会議員
飯野 まさたけ
日 時 平成22年1月25日 10時~13時
視察先 逗子市役所 情報公開課 、まちづくり課
視察目的 ①情報公開条例について、②まちづくり条例について
1、情報公開条例について 10:00~11:00
逗子市は日本経済新聞社が実施する自治体などの情報公開や行政革新度などの各種ランキング(隔年実施)で2002年に透明度ランキング全国1位、2004年に効率化・活性化度全国1位、2006年透明度ランキング全国1位と上位に名を連ねている。その理由を調査し鎌倉市に取り入れることにより開かれた行政を作るべきであるという思いで視察を行った。
逗子市の情報公開条例(この項目では、「条例」と略す。)で目を引いたものは次の通り。
①条例第2条(基本原則)という鎌倉市にない条文があり、その条文中「積極的に市民の利用に供するため、情報提供の推進に努めるものとする」とする文言がある。この条文は富野前市長が市長になる前に逗子市当局が余りに情報を開示しなかったために、市の保有する情報は市民のものであることを強く主張するために設けられていると説明を受けた。
この条文の精神を生かすために、②~⑥が制度化される。また、「市の保有する情報は公開することを原則とし」とあり行政文書と限定していないことも広く情報公開をしていこうとする決意の表れである。
②条例第3条(定義)第2項に「実施機関」には、鎌倉市にない「土地開発公社」が入っている。逗子市の情報公開ハンドブックでは「土地開発公社」を加えた理由として、「土地開発公社は、地方自治法に規定された機関ではなく『公有地の拡大の推進に関する法律』第10条第1項の規定に基づき設置された法人である。しかし、土地開発公社は市が直接設立し、その事業内容も市の事業を代行しているものとみなすことができ、かつ、人事面においても財政面においても、市から全面的に支援を受けていることから、土地開発公社の情報公開については、市の情報公開条例を直接適用させることが必要であるとの判断により実施機関に加えている」と説明を受けた。近隣の藤沢市も実施機関の対象に「土地開発公社」を加えている。鎌倉市も加えるべきである。なお、「土地開発公社」は条例制定当初から「実施機関」に含まれている。
③条例第6条の2(一定期間経過後の情報の公表)は長島市長時代に導入されたいわゆる時限情報公開制度である。2006年1月26日のプレスリリースでは、世界でも191カ国中4カ国で実施されている制度であると発表している。情報を出来る限り公開すべきという趣旨は賛同できる。しかし、逗子市において情報非開示とした場合のほとんどが個人情報を理由としていることを考慮すると鎌倉市に導入するべきかは、なお検討を要する。また、時限情報公開制度のために条例第18条(情報の管理等)第3項に「実施期間は、情報の一部又は全部非公開としたときは、第6条の2第1項及び第2項に定める期間が経過するまでの間、当該情報の原本を保存しなければならない。」となっており、情報公開課で現在、原本を保管しているが、保管の方法については、紙ベースでなければいけないとか、マイクロフィルムでいいのか、PDFでいいのか等が今後の課題となっている。
④条例第10条(公開するかどうかの決定)において、「当該公開請求のあった日から起算して7日以内」となっており期間が非常に短くなっている。例えば、平成22年1月25日(月)に請求があった場合、1月29日(金)までに決定をしなければならなくなる。7日目が1月31日(日)になるため、前倒しをしなければならないからである。条例制定当初の懇話会、調査会の時から「ダラダラと時間を延ばすのでなく、やるべきことは早めにやるべき」という趣旨から7日間となっている。なお、鎌倉市や藤沢市は条例第11条第1項において「公開請求のあった日から起算して15日以内」となっている。市職員の負担も考慮すべきであるが、情報化時代の今日においてできるだけ早く情報を公開すべきであるので鎌倉市も逗子市のようにすべきである。ちなみに、国の情報公開法は第10条第1項において「開示請求があった日から30日以内」となっている。
また、「事務処理上の困難その他正当な理由があるとき」は逗子市・国は「30日を越えない範囲で」延長ができ、鎌倉市・藤沢市は「45日以内に限り」延長ができるとしている。しかし、「行政文書が著しく大量である」場合の「公開決定等の期限の特例」に関する条項は、鎌倉市・藤沢市・国にはあるが、逗子市にはない。逗子市の場合は条例第10条第1項の「やむを得ない事情」に含まれると解され、30日を越えない範囲の延長しかできないため職員の負担になっているが、市民への情報提供に資するものであり見習うべきである。
⑤条例第15条(情報公開審査委員)では情報公開請求者の救済制度として、行政不服審査法に基づく不服申立とは別に、情報公開審査委員をおくことを規定している。情報公開審査委員は検察官と同じように独任制の官庁であり、県内に同様の制度はない。富野市長時代に情報公開を強く推進するために設けられた制度であり、通称「情報公開オンブズマン」とも言われている。現在3人の弁護士が就任し請求者の救済に行っている。情報公開のためには素晴らしい制度であり鎌倉市でも導入すべきである。しかし、課題として逗子市では非常勤の情報公開審査委員に対し毎月20万円支払っている(逗子市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例第2条(報酬)別表第1)。神奈川県では松沢成文知事は11月24日の定例会見で教育委員や選挙管理委員など八つの行政委員報酬を、月額制から日額制に改める方針を明らかにしている。鎌倉市でも多くの行政委員は日給制であることから鎌倉市に情報公開審査委員を導入する場合には日給制にするかどうかの検討が必要となる。
⑥逗子市インターネットによる公開請求及び情報公開に関する事務取扱要領は長島市長時代に平成16年8月1日施工で導入された制度である。逗子市で平成21年4月1日から12月31日までに情報公開請求の件数が146件であるが、うちインターネット請求によるものが96件であり全体の65.8%を占めている。県内では他にない制度であるが、ネット社会の今日では市役所にいかずに請求でき逗子市民にとり有用である。鎌倉市でも導入すべきである。
2、まちづくり条例について 11:05~13:00
今回の調査では「開発業者にやっかいなまちづくり条例へ」という民主党鎌倉市議の共通政策「税金のムダ全廃プロジェクト」を実現するためにどのような条例が必要かを調査することが目的である。議会事務局には、まちづくり条例の調査ということで手配を依頼をしていた。しかし、逗子市の開発事業に関しては、①まちづくり条例(平成14年7月施行)、②良好な都市環境をつくる条例(平成4年9月施行、以下「つくる条例」という)、③逗子市景観条例(平成18年3月施行)の3つの条例が正に「3本の矢」となり有機的に機能している。そのため「逗子市における開発事業の手続きフロー」(別添)に基づき説明を受けた。
手続きの流れは「逗子市における開発事業の手続きフロー」の通りであるが、どこが開発業者に取り大変かというと、手続きに時間と手間が掛かることである。つくる条例の評価書の概要を公示し完了書を交付するまで、及び景観条例の配慮書の概要を公示し完了書を公布するまで、これだけで早くて半年から1年掛かるものとなっている。また、これら2つの完了書がなければ、まちづくり条例の事前協議申請書の提出、告示・縦覧をすることができない。
そして、開発場所の100メートル範囲内の住民や15メートル範囲内の近隣住民から署名が集まり公聴会の請求があった場合は、まちづくり条例第34条の規定により公聴会を開催する。そして、第35条により、賛否の有無について市長が報告書を告示・縦覧し、その結果に対し先の住民に異議がある場合は議会に対し議会陳情として「議会に対する開発事業賛否に係る意見の求め」をすることができる。議会は定例会において特別委員会及び本会議で結論を出す。市長は議会の意思表明を尊重し結論を出すこととなる。
これら「3本の矢」により逗子市の開発手続きは手間と時間が掛かるものになっており、開発抑止に役立っている。
しかしながら、いわゆる小規模連鎖開発と言われる敷地を開発の基準に該当しない範囲において分割し、建築する場合には「3本の矢」を用いることができない。そのため逗子市では「敷地面積の最低限度の指定」を検討している。この制度は敷地面積の最低限度を定めることにより小規模連鎖開発対策にしようとするものである。この規制は①都市計画法第8条による方法、②都市計画法第17条による方法、または、③建築基準法第50条による方法が検討されている。また、敷地面積の最低限度は165㎡を検討しているが、憲法上の財産権の侵害にならないか、また高齢率が27%を超え神奈川県で一番高齢化が進んでいる逗子市で敷地面積を制限すると住宅が高額となり若い世代が購入することができなくなるのではないかという懸念がある。今後の推移を見守りたい。
以 上

